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漢方入門:年とともに感じる疲れやすさを読み解く知恵

Tags: 漢方入門, 疲れやすさ, 気虚, 加齢, 体質改善, 養生

年とともに感じる疲れやすさ、それは体のサインかもしれません

「最近、どうも疲れやすくなった」「少し動いただけでも息切れする」「朝起きるのがつらい」など、年齢を重ねるにつれて、以前は感じなかった体の変化に戸惑うことがあるかもしれません。これらの疲れやすさは、単に「年だから仕方ない」と片付けられがちですが、漢方ではこれを体のバランスが崩れているサインとして読み解くことがあります。

初めて漢方に触れる方にとっては、漢方の考え方は少し難しく感じられるかもしれません。しかし、漢方は特別なものではなく、私たちの体が本来持っている力を引き出し、バランスを整えることを目指すものです。この記事では、年とともに感じる疲れやすさを、漢方ではどのように捉え、どのようなケアが考えられるのかを分かりやすくお伝えします。

疲れやすさ、漢方では「気(き)」の不足と考えることがあります

漢方の基本的な考え方に「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という概念があります。「気」は生命活動のエネルギーのようなもの、「血」は血液とその栄養、「水」は体液全般を指します。これらが体内を滞りなく巡り、バランスが取れている状態が健康と考えられています。

年とともに感じる疲れやすさの原因の一つとして、漢方ではこの「気」が不足している状態、すなわち「気虚(ききょ)」を考えることがあります。「気」は体を動かす力、内臓を働かせる力、病気から体を守る力など、生命活動の根源となるエネルギーです。車のガソリンやバッテリーのようなものだとイメージしてみてください。

「気虚」の状態になると、体がエネルギー不足に陥り、以下のようなサインが現れやすくなります。

これらのサインに心当たりがある場合、あなたの体は「気」が足りていないのかもしれません。

「気」を補う漢方の考え方と、日常でできるケア

漢方では、「気虚」のように足りないものを「補う(おぎなう)」という考え方で体のバランスを整えることを目指します。「気」を補うためには、体にやさしく働きかける生薬を組み合わせた漢方薬が用いられることがあります。代表的なものとしては、疲れやだるさに用いられる補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や、胃腸の働きを助けて「気」を生み出すのを助ける六君子湯(りっくんしとう)などがありますが、ご自身の状態に合う漢方薬は専門家にご相談の上で選ぶことが大切です。

また、漢方の考え方では、薬だけに頼るのではなく、毎日の食事や生活習慣も「気」を養う上で非常に重要だと考えます。

食事でのケア

「気」は、私たちが食べたものや吸い込んだ空気から生み出されると考えられています。胃腸の働きを整え、しっかり栄養を吸収することが「気」を養うことにつながります。

生活習慣でのケア

「気」を消耗しすぎないこと、そして「気」を生み出すための休息も大切です。

あなたに合った漢方を見つけるために

漢方薬は、同じ「疲れやすい」という症状でも、その人の全体的な体質や状態(これを漢方では「証(しょう)」と呼びます)をみて選ばれます。自己判断で選ぶのではなく、専門家に相談することが最も大切です。

漢方薬は、医師の処方であれば保険が適用されるものも多くありますし、薬局・薬店などでも専門家(薬剤師や登録販売者など)に相談して購入できるものもあります。「高価そう」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、費用についても相談してみる価値は十分にあります。

まとめ

年とともに感じる疲れやすさは、体のエネルギーである「気」が不足しているサインかもしれません。漢方では、この「気虚」の状態を「補う」という考え方で整えることを目指します。漢方薬だけでなく、日々の食事や生活習慣を見直すことも、疲れにくい体を作るために大切です。

もし、あなたが疲れやすさにお悩みであれば、一人で抱え込まず、漢方に詳しい医師、薬剤師、登録販売者などに相談してみてはいかがでしょうか。あなたの体の声に耳を傾け、適切なアドバイスを受けることが、自分に合ったケアを見つける第一歩となるはずです。