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年齢とともに気になる胃腸の弱り。漢方で読み解く体の声

Tags: 漢方, 胃腸の不調, 高齢者向け, 体質, 養生

年齢とともに気になる胃腸の不調

年齢を重ねるにつれて、「食事の量が減った」「胃がもたれやすい」「食欲があまりわかない」「便秘がちになった」など、胃腸の不調を感じることが増えてくるかもしれません。これらの変化は、特別な病気ではないとしても、日々の生活の質に影響を与えることがあります。

西洋医学では、胃腸の機能低下や特定の疾患として捉えられることが多いこれらの不調ですが、漢方ではまた違った視点から、その原因と体の状態を読み解いていきます。

漢方で考える胃腸の働きと体のバランス

漢方では、私たちの体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素がバランスを取りながら巡ることで健康が保たれていると考えます。そして、胃腸の働きは特に「脾(ひ)」という概念が深く関わっています。

「脾」は、飲食物を消化・吸収し、全身に栄養を行き渡らせる役割を担っています。いわば、エネルギーを作り出す工場のようなものです。この「脾」の働きが年齢とともに弱まってくると、消化吸収能力が落ちたり、水分代謝が悪くなったりすることで、様々な胃腸の不調が現れやすくなります。

胃腸の不調と漢方的な見方

同じ「胃もたれ」や「食欲不振」といった症状でも、漢方ではその原因となる体のバランスの崩れ方(これを「証(しょう)」と呼びます)が人それぞれ異なると考えます。

例えば、

このように、表面的な症状だけでなく、その方の体質や他の不調も総合的に見て、今ある体の状態(証)に合わせたアプローチを考えるのが漢方です。

自分に合った漢方を見つけるために

胃腸の不調に漢方を取り入れてみたいと思われたら、まずは専門家にご相談されることをお勧めします。

医師、薬剤師、登録販売者といった専門家は、あなたの具体的な症状だけでなく、体質、体力、その他の体の状態、生活習慣などを詳しく伺い、「証」を見極めます。そして、その「証」に合った漢方薬を選んでくれます。自己判断で市販薬を選ぶよりも、より効果的で、安心して使うための一歩となるでしょう。

また、胃腸の不調の背景に、別の病気が隠れている可能性もゼロではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断を受けることが大切です。その上で、漢方薬を治療の選択肢の一つとして検討されても良いでしょう。

薬だけに頼らない漢方的なケア

漢方では、薬による治療だけでなく、日々の養生も非常に重要視します。胃腸のケアにおいても、食生活や生活習慣を見直すことが大切です。

これらの日々の工夫も、漢方薬と併せて行うことで、体の内側からの調和をサポートすることにつながります。

まとめ

年齢とともに感じる胃腸の不調は、体のバランスが崩れているサインかもしれません。漢方では、「脾」を中心とした「気・血・水」のバランスという視点から、不調の原因を読み解き、対処法を考えます。

ご自身の胃腸の不調について、漢方の考え方を取り入れてみたいと思われたら、まずは専門家に相談してみてください。あなたの「証」に合った漢方薬や、日々の養生について、きっと良いアドバイスが得られるでしょう。焦らず、ご自身の体の声に耳を傾けながら、ゆっくりと体調を整えていくことを目指しましょう。