初めての漢方薬:病院処方と市販薬の違い、費用と保険適用について
漢方薬に興味はあるけれど、どうすれば手に入るのだろう?
加齢とともに体のあちこちに不調を感じるようになり、漢方薬に興味を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。「体の内側から整える」「自然の力でやさしく」といったイメージに魅力を感じつつも、いざ試そうとすると「どこで手に入れられるのだろうか」「費用はどれくらいかかるのだろうか」といった疑問や不安をお持ちになることもあるでしょう。
漢方薬を手に入れる方法としては、主に医療機関で医師から処方してもらう場合と、薬局やドラッグストアなどで市販薬として購入する場合の二つがあります。これらは同じ漢方薬であっても、いくつかの違いがあります。今回は、それぞれの特徴や費用、そして気になる保険適用について詳しくご紹介いたします。
医療機関で処方される漢方薬の特徴
医療機関、つまり病院や診療所で医師の診察を受けて処方される漢方薬は、「医療用漢方製剤」と呼ばれます。
医療用漢方製剤のメリット
- 専門家による診断に基づいた処方: 医師は、あなたの体の状態(「証」と呼ばれる体質や病状)を詳しく診断し、その診断に基づいてあなたに最も合った漢方薬を選んでくれます。これは、漢方の専門知識がない方にとって非常に大きなメリットです。
- 健康保険が適用される: 医療用漢方製剤の多くは、医師が必要と認めた場合に健康保険が適用されます。これにより、費用負担を抑えることができます。医療機関での診察費や検査費用は別途かかりますが、薬代については自己負担割合に応じた金額になります。
- 品質の安定性: 厚生労働省によって承認された品質基準に基づき製造されており、品質が安定しています。
医療用漢方製剤の注意点
- 医師の診断・処方が必要であるため、受診の手間がかかります。
- 医師が診断名をつけ、それに適した漢方薬を処方するという流れになります。
薬局などで購入できる市販の漢方薬の特徴
薬局やドラッグストア、最近ではインターネットなどでも購入できる漢方薬は、「一般用漢方製剤」または「要指導医薬品・第一類医薬品・第二類医薬品・第三類医薬品」に分類されるものです。
市販の漢方薬のメリット
- 気軽に手に入れられる: 医師の処方が不要なため、自分のタイミングで必要な時に購入できます。
- 様々な種類がある: 比較的軽い症状や体質改善を目的としたものなど、様々な種類があります。
市販の漢方薬の注意点
- 原則として健康保険は適用されない: 市販薬はご自身で購入するため、原則として健康保険の適用はありません。全額自己負担となります。ただし、特定の条件下では医療費控除の対象となる場合があります。
- 自分で選ぶ必要がある(または専門家のアドバイスが必要): 自分で症状や体質に合わせて選ぶ必要があります。多くの市販薬は、パッケージに書かれた効能・効果や説明書きを参考に選びますが、漢方薬選びで大切な「証」を見極めるのは専門知識が必要です。そのため、薬剤師や登録販売者といった専門家のアドバイスを受けることが非常に重要です。自己判断での服用は、効果が得られなかったり、体質に合わなかったりする可能性があります。
- 医療用と成分量などが異なる場合がある: 同じ名称の漢方薬であっても、医療用と市販薬では配合されている生薬の量などが異なる場合があります。
結局、どちらを選ぶべき?
医療用漢方製剤と市販の漢方薬、どちらを選ぶかは、あなたの目的や体の状態によって異なります。
- 特定の病気や症状に対して集中的に治療したい、体質を根本から見直したい といった場合は、医師に相談し、あなたの「証」に基づいた医療用漢方製剤を処方してもらうのがおすすめです。保険適用により費用負担を抑えられる場合が多いのも利点です。
- 「少し体がだるい」「なんとなく調子が悪い」といった軽い不調を感じる場合や、特定の体質(冷えやすいなど)を改善したい といった場合は、市販の漢方薬を試してみることも一つの方法です。この場合でも、薬局の薬剤師や登録販売者に相談し、自分の体質や症状に合ったものを選ぶことが大切です。
自分に合った漢方を見つけるために大切なこと
漢方薬は、西洋薬のように「この症状にはこの薬」と単純に決まるものではありません。同じ肩こりでも、冷えが原因なのか、血行不良なのか、気の滞りなのかによって選ぶ漢方薬は変わってきます。
自分に合った漢方薬を見つけるためには、やはり専門家の力を借りることが最も安心で確実な方法です。
- 医療機関: 医師は問診や診察を通してあなたの「証」を見極め、適切な漢方薬を選んでくれます。保険適用についても相談できます。
- 薬局・ドラッグストア: 薬剤師や登録販売者は、あなたの相談内容に応じて、市販薬の中から適切なものを提案してくれたり、服用上の注意点などをアドバイスしてくれたりします。
「難しそう」「どう選べばいいか分からない」と感じる場合でも、専門家に相談することで、安心して漢方薬を始めることができるはずです。ご自身の体の状態や、漢方に期待することなどを専門家にしっかりと伝え、あなたにぴったりの漢方を見つけてください。